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by sasakitosio

川内原発規制審査は「無効」 法令違反なみ手抜き

 10月6日付東京新聞朝刊26.27面に、「こちら特報部」という面がある。なかで、「神戸大名誉教授・石橋克彦氏に聞く」という記事がある。今日はこの記事を学習することにした。
 まず記事は、「九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)は新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の審査書について、「無効だ」と主張する地震学者がいる。石橋克彦神戸大名誉教授(70)。福島原発事故の14年前から、大地震による「原発震災」に警鐘を鳴らしてきた。石橋氏は「審査は法令違反とさえいえる」という。何が問題なのか。
 「新規基準は、安倍政権がいう「世界で最も厳しい水準」からほど遠い欠陥品だが、その根本問題に目をつぶっても、審査があきれるほどずさん。鉄道や航空機の安全にかかわる事例だったら世間の袋叩きにあうような手抜きがあり、省令なみの規則に違反している」。川内原発の審査に対する石橋氏の批判は強烈だ。
 新規制基準は、原発の耐震設計の基準となる揺れ(基準地振動)を策定する際、「内陸地殻内地震」「プレート間地震」「海洋プレート内地震」について、敷地に大きな影響を与えそうな地震を複数選定し、それらによる基準地振動を検討するよう求めている。
 しかし、九電川内原発の基準地振動の策定に当たって、「内陸地殻内振動しか検討しなかった。プレート間地震と海洋プレート内地震については、発生位置が敷地から十分離れているため震度5弱に達せず、原発に影響を与えないとして検討対象から除外したのだ。
 規制委は、それをあっさり認めて「合格」させたのだ。
 だが石橋氏は、「九電が「震度五弱に達しない」と言って規制委が「はい、そうですか」で済ますとは、地質学的にもってのほかだ」と指弾する。」と切り出した。
 つづけて記事は、「なぜなのか。プレート間地震については、内閣府の検討会が2012年8月に公表した最大クラスの南海トラフ巨大地震の想定がある。マグニチュード(M)9級で、震源域は駿河湾から宮崎県沖まで広がる。石橋氏は「川内原発付近の予想最大震度は5弱に達している。
 しかも、この震度予想は広域の傾向を見るための目安に過ぎない。原発のような重要施設は、より安全を考えた震源モデルを設定して再検討するのが当然で、震度六弱になる可能性もある」とう。
 海洋性プレート内地震については、九電も例示した1909年の宮崎県西部の地震(M7.6)で、宮崎、鹿児島、佐賀で、震度5を記録し、各地に被害をもたらしている。これは、九州の地下に沈み込んだ海洋プレート(スラブ)の中で発生したスラブない地震だ。石橋氏は「スラブは鹿児島県の地下にも存在するから川内原発にもっと近いところでもスラブ内地震は起こり得る。しかもM7.6が最大とは限らない。
 最悪の場合は震度6に達するかもしれない」と話す。
 そして「それを指摘しなかった規制委は能力と熱意・使命感にかけているのではないか」と手厳しい。
川内原発の基準地振動の最大加速度は620ガル(ガルは加速度の単位)である。
 これは、M6.1の地震が原発直下で発生するとした場合の値だ。しかし石橋氏によれば、「活断層が認められなくてもM7級の大地震が起こるから、これは明らかに過小評価だ」。
 一般に基準地振動は複数想定される。地震の種類によって揺れの性質が違うからだ。しかし、九電は川内原発について、直下地震のほかは、原発周辺の活断層で派生する内陸地殻内地震による基準地振動しか策定しなかった。「なぜプレート内地震とスラブ内地震を考慮しないのか。両者の揺れ方は独特だから、基準地振動を策定して重要施設の耐震安全性をチェックすべきだ」と石橋氏は言う。」と教えてくれる。
 さらに記事は、「 新規制基準は、東日本大震災の教訓に立ち、「想定外」を起こさないようにつくられたはずだ。石橋氏は、「川内原発の審査は新基準による第一発目。今後の再稼働審査の模範になるべきものだ。手順を丁寧に踏んで説明責任を果たさなければいけない。それが、こんないい加減なのは許されない。九電の言いなりになった規制委は、まるで“子供の使い”だ。最初が肝心だからこそ、審査を無効にしてやり直すべきだ」と主張する。
 石橋氏が「原発震災」と言う概念を提唱したのは1997年。大地震による揺れや津波に起因する原子力施設の大事故と通常災害との複合災害を警告した。
 06年8月、石橋氏は原発の耐震設計の指針を改定する委員会の委員だった。しかし、不徹底な改訂案に抗議し、最終回で辞任・退席した。福島原発事故が起きたのは、その5年後だ。
 福島第一原発の基準地振動は、この時改訂された新指針に沿って、それまでの最大加速370ガルから600ガルに引き上げられた。しかし、肝心の耐震補強工事を東京電力が実施しなかったことが、12年、国会事故調査委員会の調査で明らかになった。東日本大震災の際の福島第一の揺れは675ガルを記録している。石橋氏は「原発内の重要設備が、揺れで損傷した可能性を慎重に検討すべきだ」と指摘する。
 実際に福島第一で現場検証し、地震による損傷を調べることは不可能だ。だからこそ、「安易な結論を出してはいけない」「基準地振動を超えてしまったと反省するのと、超えたけれども大丈夫意だったと思うのは大きな違いだ。」と教えてくれる。
 さらに続けて記事は、「「想定外の大津波が来たからしょうがない」では教訓にならない」
 規制委は、川内原発で想定される火山についても「大規模な噴火の可能性は小さい」としている。しかし、現に御嶽山では、予測できなかった噴火で多くの犠牲者が出た。「現在の科学では、原発に影響与える地震の強さや噴火の発生確率、規模などに正確な答えは出せず、可能性の指示にとどまる部分が多い。それをどう考慮するかは最終的に社会が判断すること。
 今は安全性が軽視され、利権集団の経済判断が最優先されている」と憂慮する。」と教えてくれる。
 最後に記事は「「この地震火山列島では原発は危険すぎる。今後も川内原発のようなずさんな審査が続くと、日本は再び原発震災に襲われるだろう」と石橋氏は警告する。
 「世間が福島事故を忘れつつあるというより、強大な勢力が忘れさせようとしているようだ。震災直後は多少鳴りをひそめていた原発ムラの住人や御用学者が現政権のもとで息を吹き返し、審査にも影響を与えているのだろう。国民は福島事故の理不尽さを決して忘れてはならない」」と締めくくった。
 読んで大変勉強になった。
 特に、筆者指摘の「新規制基準は、原発の耐震設計の基準となる揺れ(基準地振動)を策定する際、「内陸地殻内地震」「プレート間地震」「海洋プレート内地震」について、敷地に大きな影響を与えそうな地震を複数選定し、それらによる基準地震動を検討するよう求めている」は、初めて知ったが、それらは重要な「安全審査」の要件だろう。
 しかし、「九電は川内原発の基準地振動の策定に当たって「内陸地殻内地震しか検討しなかった」」とのこと。
 そして、「規制委はそれをあっさり認めて「合格」させた」とのこと。
 これでは、筆者の「九電の言いなりになった規制委は、まるで“子供の使い”だ。最初が肝心だからこそ、審査を無効にしてやり直すべきだ」との主張が、ストンと腹と心に落ちた。ここは一番、法律の専門家が、学者の石橋先生と一緒になって「川内原発審査無効の裁判」を起こす、歴史的場面ではないか、と思った。
 
 
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by sasakitosio | 2014-10-09 07:55 | 東京新聞を読んで | Trackback