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by sasakitosio

格差拡大は成長を妨げる

格差拡大は成長を妨げる
 9月7日付東京新聞社説に、「格差拡大は成長を妨げる」の見出しで、格差問題の記事が載った。今日はこの社説を学習することにした。
 社説は、「格差をめぐる議論や抗議が欧米で盛んです。現状への不満から極右勢力が伸長、格差論議に一石を投じる本がブームに。日本だけが静かです。
 欧州と日本を行き来している経済開発機構(OECD)の玉本林太郎事務次長兼チーフエコノミストは首をひねります。
 「欧州ではいかにして格差を縮小するか日々問われているが、日本では成長ばかり。対岸の火事ではなく、もっと格差の問題に声をあげるべきではないか」
 OECDは7月加盟34カ国で所得格差が広がっていると発表、日本も年々拡大しています。
 にもかかわらず、ここ5年ほど議論はすっかり下火です。
 経済の長期停滞や若者の高失業率、格差への不満から5月の欧州議会ではフランスや英国などで極右が議席を大量獲得。移民排斥や欧州統合反対を掲げる勢力ですから各国は大いにあわてました。
 一方、米国では上位3%の高所得者に富の5割以上が集中するほどに格差は大きい。才覚と努力次第で成功できた「アメリカンドリーム」は今は昔、「1%対99%」が定着し、「金融街を占拠せよ」などの抗議運動が巻き起こったのは記憶に新しいところです。」と教えてくれる。
 つづけて社説は。「この春から格差論議を高める本が一大ブームになっている。若きフランスの経済学者トマ・ピケティ氏の「21世紀の資本主義」という7百ページに迫る大著です。分厚い経済専門誌なのに異例の売れ行きを記録しています。
 この本の特筆すべきところは、欧米や日本など20カ国以上を対象に、過去200年以上にわたる税務などの膨大なデータを15年かけて調べ上げ、ある衝撃的な事実を突き止めたことです。
 それは「経済成長率よりも資本収益率が常に上回っている」、つまり労働者たちが汗水たらして働いて得る賃金の上昇(国民所得の伸び)より、金持ちが不動産や金融資産から得る利益の増え方の方が高い。持つ人と、持たざる人の格差は拡大していくという受け入れがたいともいえる事実でした。
 例外は戦争と大恐慌時。資本が破壊されて一時的に格差が縮小するのです。不気味なのは最近の格差の水準が、第一次世界大戦直前に近づいていることだと、ピケティ氏は「警告」します。
 さらに格差は相続によって親から子へ継承され、氏はこの「世襲資本主義」は果たして公正なのかと問いかけます。」と教えてくれる。
 さらに社説は、「先進国では長らく「経済成長すれば格差は縮小される」という説が有力でした。国内総生産(GDP)の生みの親でノーベル経済学賞受賞の米経済学者の泰斗、クズネッツ氏が1950年に唱えたクズネッツ仮説です。この常識を揺るがしたと言っていいでしょう。
 もう一つ日本にとって同じくらい重要な命題があります。
「格差拡大は成長を妨げる」。OECDや米格付け会社スタンダード&プアーズが最近明らかにしました。かいつまんで言えば、消費を担う中間層が減少し、何より所得格差は教育機会の格差となって深刻な問題をはらむというのです。
 日本の子どもの貧困率は2012年過去最高の16%超に達しました。安倍政権は対策の大綱をまとめましたが全くの期待はずれです。飛び級など一部エリートの英才教育に力を入れるより、失われかねない可能性をすくい上げてほしい。
 安倍晋三首相は内閣改造後の所信で「頑張った人が報われる社会に」と強調しました。皆が同じスタートから走り出すなら、首相の言葉も理解できる。でも、今の格差社会は努力や能力より出生がどこかで決まってしまう。
 貧困家庭で生まれればスタートラインのはるか後方から、対して富裕層の子弟や二世政治家は限りなくゴールに近いところからスタート、頑張っても追いつけないほどの格差がある。日本人は確かにもっと声をあげるべきです。」と指摘した。
 最後に社説は、「格差を生むグローバル資本主義に早くから懐疑的な佐伯啓思・京都大学大学院教授は言います。
「今は普通のサラリーマンが本当に疲弊している。統計に表れず、目に見えない形で、市場経済がうまく機能するには社会や政治の安定が必要だが、問題はその安定性が崩れてきていること。日本型経営のいい部分を発展させるなど中間層の安定を急ぐべきだ」
 成長が重要というなら、やるべきは大企業や富裕層を富ますトリクルダウンではなく、所得再分配など格差を縮める政策です。」と、締めくくった。
 読んで勉強になった。
 「21世紀の資本論」(フランス人経済学者トマ・ピケティ氏)では、
 「経済成長率より資本収益率が常に上回っている。」、
 「例外は戦争と大恐慌時。資本が破壊され一時的に格差は縮小する。」、
 「不気味なのは最近の格差水準が、第一次世界大戦直前に近づいている」、
 「格差は相続によって親から子へと継承され、氏はこの「世襲資本主義」は公正かと問いかける」、等のことは、これからの世界を見る上で、新しい切り口になりそうだと思った。
 社説指摘の命題、「「格差拡大は経済成長を妨げる」。
 それは、所得格差は教育機会の格差となり、教育機会の減少は単に低所得層が増えるだけでなく、若者の可能性の芽を摘み、将来の国富の喪失につながる、とのこと。
 百年の計は人を育てることにありと、何かで読んだことを思い出した。完全雇用の声が聞かれなくなって久しいが、完全雇用こそ、戦争回避と共に、政治の目指すべき大目標だとあらためて思った。
 
 
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by sasakitosio | 2014-09-13 08:06 | 東京新聞を読んで | Trackback