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by sasakitosio

理想の地へ 夢が生む暴力

 8月28日朝日新聞朝刊17面に、「あすを探る」という署名入りのかこみ記事がある。筆者は千葉大教授(中東研究)・酒井啓子氏だ。今日はこの記事を学習することにした。
 筆者は、「この土地こそわが理想の地、という主張は、それを謳いあげる者にとっては実に甘美な言葉だ。かってそこに美しい祖国があった、という夢には、最も愛国心をそそる力がある。
 だが、夢に目が眩み、踏みしだく土地に他者が住んでいることを忘れてはいないか。自分たちの理想を共有しない者に、住む権利を認めない暴力が、横行してはいないか。
 7月から激化したイスラエルによるガザ攻撃は、パレスチナ側に2100人以上の死者を出すという事態に至っている。世界でも有数の人口密集地であるガザでは、イスラエルが設けた壁と検問による封鎖で、住民は外部への移動もままならない。天井のない牢獄に、空から爆弾が降り注ぐ状況に、世界中で数万人規模のデモや抗議が繰り広げられる。
 イスラエルとパレスチナの対立の根源にあるのは、イスラエルという国の建国でそこに住んでいたパレスチナ人が追い出された、そのパレスチナ人が生命と人権を取り戻すための戦いにほかならない。
 逆に言えば、パレスチナ人の生命と人権がなぜいまだに得られていないのか、ということこそが、問題である。」と切り出した。
 つづけて筆者は「そもそも、ヨーロッパで迫害を受けたユダヤ人が祖国の建設を願うに至った結果、パレスチナに異教徒、異民族が住んでいたにもかかわらず、それを追い出してまで、イスラエルという国をユダヤ人のための理想郷として造った。
 そんな国づくりをしてもいいのだ、と考えた100年前の発想と、ヨーロッパには住めないと切羽詰るまでユダヤ人が迫害され続けた、ヨーロッパの排除の歴史そのものにこそ、疑問が投げかけられるべきではないのか。
 そんな昔のことは、いまさら問い直しても仕方がない、というかもしれない。過去に問題があっても、既に70年近くその問題を前提に国際社会はうごいてきたのだから、そこは不問に付そう、と言うかもしれない。
 そもそも、自由と民主主義の国アメリカにしても、もとは理想を掲げてヨーロッパを脱出した者たちによって、現地住民に対する迫害の上に造られたわけだし。
 だとすれば、いまイラク北部に勢力を広げて住民を恐怖を与え、難民を多く生んでいる武将組織「イスラーム国」が同じようなことを考えたとしても、不思議ではないかもしれない。
 「シリアとイラクで無法と化した地域に、自分たちの理想のイスラム国をつくって秩序を与えよう。そのためには、現地住民を殺害したり追放しても構わない。理想を共有する同胞が、チェチェンや北アフリカなど、世界中から集うから」 オスマン帝国を最後に潰えたイスラームのカリフ制を再考しよう、という思想自体は、イスラーム国に限らず、さまざまなイスラーム主義者が掲げてきたものだ。
 国際社会は、イスラーム国の少数民族や少数宗派に対する不寛容な政策を懸念しているが、そんなことは歴史的に繰り返されてきたじゃないか、ほら今でもイスラエルが、などと、イスラーム国は言わないだろうか。」と指摘した。
 さらに筆者は、「かって私の土地だったという記憶をたどれば、クリミアもまた、誰の土地かが複層的に絡まる土地である。だが、どこまで遡ることが許されるのか。ロシア人の土地かウクライナ人かは紛争の渦中にあるが、かってクリミア住民だったタタール人やユダヤ人はほとんど言及されない。
 クリミヤやイラク北部の少数民族や、さらにイスラエル建国までアラブ社会の一員だったユダヤ人もまた、これまで共存の歴史を続けてきた。それを壊すのは、土地の外から聞こえる「これはわが土地」との主張である。地元社会が聞きたい声は、違う。
 これは住んでいる人たちのすべての土地だ、との言葉だ。
 外から夢を押し付ける者たちには、暴力はあるが政治はない。そこに住む多様な人々が求めているのは、多元性を調整する政治なのだが、今、政治が無い。」と締めくくった。
 読んで大変勉強になった。
 ①「イスラエルとパレスチナの対立の根源にあるのは、イスラエルと言う国の建国でそこに住んでいたパレスチナ人が追い出された、そのパレスチナ人の生命と人権を取もどすための戦いにすぎない」との指摘。
②「今イラク北部に勢力を広げて住民に恐怖を与え、難民を多く生んでいる武装組織「イスラーム国」が同じように考えたとしても不思議でないかもしれない。」との指摘。
③「「シリアとイラクで無法と化した地域に、自分たちの理想のイスラーム国を造って秩序を与えよう。そのためには、現地住民を殺害したり追放したりしてもかまわない。理想を共にする同胞が、チェチェンや北アフリカなど、世界中から集うから」オスマン帝国を最後に潰えたイスラームのカリフ制を再興しよう。と言う思想自体は、イスラーム国に限らず、さまざまなイスラーム主義者たちが掲げてきたものだ」と指摘。
 ④「クリミヤやイラク北部の少数民族や、さらにイスラエル建国までアラブ社会の一員だったユダヤ人もまた、これまで共存の歴史を続けてきた。」と指摘。
 その他、アメリカの建国の歴史、ヨーロッパでのユダヤ人迫害の歴史、は刺激的だった。
 最後に「外から夢を押し付けるものたちには、暴力はあっても政治はない。そこに住む多様な人々が求めているのは、多元性を調整する政治なのだが、今、政治が無い。」と指摘はその通りだと思った。それが、双方の住民の不幸の元だと思った。
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by sasakitosio | 2014-09-01 20:42 | 東京新聞を読んで | Trackback