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by sasakitosio

外交敗北の果ての「予期せぬ死」

 7月27日付朝日新聞朝刊2面に、「日曜に想う」という署名入りの囲み記事がある。筆者は、特別編集委員・富永格氏だ。
 今日はこの記事に学ぶことにした。
 筆者は、「地中海のへそにあたるマルタ島の空と海は、白と黒ほどに別の青だった。
 島は北アフリカチェニスやアルジェより南にあり、高くまっすぐな陽光が色という色を隔ててしまう。
 白い光が照りかえる英国墓地に、漢字を刻んだ碑が立つ。
側面に記された66の名は、第一次世界大戦で欧州へ散った日本人だ。どなたの志か、袋入りの切り餅が供えて合った。
 私がふりかけた吟醸酒は風に舞い、金の粒になって合掌する間に消えた。
 オーストラリアの対セルビア開戦で大戦が始まり、明日で100年となる。大正3年のことだ。我が国は明治期から日英同盟に従い、連合国の一つとしてドイツに宣戦布告、中国や南洋のドイツ支配地をただちに攻略した。さらには、勝てばそれらの権益を譲るという英国の誘いに応じ、遠い戦場へと赴く。日本艦隊はマルタを拠点に連合国の輸送船を良く守ったが、敵潜水艦の攻撃などで戦死者が出た。
 欧州戦線での働きは、帝国海軍の技量と忠誠を列強に知らしめた。戦勝国に名を連ねた日本は青島やパラオを手にし、国際連盟の常任理事国となる。
 だから墓碑には「栄誉」とあった。
 しかし、泳いでもいない海に没することなく長生きしたかった人もいよう。
戦争は「予期せぬ死」を強いる。」と教えてくれる。
 つづけて筆者は、「大戦の死者1千万人すべてに、同じことがいえる。強いられた死への、ささやかな抵抗もあった。最前線の独断によるクリスマス休戦だ。仏英独合作の映画「戦場のアリア」(05年)が史実の一端を描いている。
 北仏でドイツ軍とにらみ合うフランス・スコットランド連合軍。敵陣から流れる「きよしこの夜」にバグパイプが合流し、荒野で頂上協議となる。戻った仏将校はシャンパンの提供を命じ、奇跡の夜が始まった。
 兵士らは塹壕を出て、サッカーやカードに興じ、杯を交わす。戦場をうろつく野良猫は、双方から別の名を授かっていた。どちらが本名かを真顔で言い争う男たちはおかしく、悲しい。
 軍紀に背いた部隊はそれぞれ本国から処罰された。一夜の休戦は公文書ではなく、戦地から届いた無数の手紙で語り継がれた。「この話が広く知られていたら、戦争は少し減ったかもしれません」。主演女優ダイアン・クルーガーさんの言葉が耳に残る、
 およそ戦争と言うもの、国家に名を借りた浅慮と打算で始まり、兵士の肉体が担い、家族の涙で終わる。戦場で例外なく起きるのは、奇跡ではなく、非戦闘員を含む不本意な死だ。」と教えてくれる。
 さらに筆者は、「不慮の死は上空1万メートルにも待つ。ウクライナでの旅客機撃墜は戦争の魔性を示した。地球は縮み、局地戦の「流れ弾」が一度に300の命を奪う。停戦していれば防げた悲劇で、ウクライナ、ロシア両政府の責任は重い。
 民間人の巻き添えをコラテラル・ダメージ(副次的損害)と呼ぶ。だが、パレスチナの惨状を見るにつけ、、乾いた軍事用語のまやかしを思う。イスラエルの攻撃による死者は千人に迫り、多くが武器を持たない民だという、米国務長官や国連事務総長の東奔西走もアリバイ作りに見えてくる。
 内戦状態のシリアやイラク、アフリカのいわゆる破綻国家にも、巻き添えの死が溢れている。冷戦期の「安定した危機」が懐かしくなる混迷だ。米国が内向きになり、国際秩序に割って入った中国が外向きになるほど、カオスは深まろう。」と指摘した。
 最後に筆者は、「良い戦争と言うものはない。そしてひとたび始まれば、それは「限定的」ではありえず、憎悪は末代に及ぶ。
 <平和とは、二つの戦争に挟まれたごく短い期間を言う>。この珍定義がジョークにならない現実。
 戦争をしない、させない技術が外交だとすれば、外交敗北の時代と言える。
 予期せざる死の連鎖は、戦場の外で断つしかない。戦争の世紀に学ばず外交が負け続ければ、人類は滅びよう。
 文明の、予期された死である。」と締めくくった。
 実に感銘深い、記事であった。
 特に、「およそ戦争というもの、国家に名を借りた浅慮と打算で始まり、兵士の肉体が担い、家族の涙で終わる。戦場で例外なく起きるのは、奇跡ではなく非戦闘員を含む不本意の死だ。」の指摘は、人工衛星から世界各国に届くスピーカーで、地球上の全人類に聞かせてあげたいと思った。
 また「予期せざる死の連鎖は、戦場の外で断つしかない。戦争の世紀に学ばず外交が負け続ければ、人類は滅びよう。」との指摘は、日本の今日を言い当てているようで、怖い。 
 日本の集団的自衛権の行使容認の閣議決定は、ある新聞によれば、外務省の主導で行われたとのことだった。日本外務省は、のっけから、(予期せざる死の連鎖)を断つ「外交」を放棄してるような気がしてきた。これでいいのか!!
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by sasakitosio | 2014-07-31 10:57 | 朝日新聞を読んで | Trackback