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by sasakitosio

戦争は自衛の暴走で始まる

 6月26日付朝日新聞朝刊15面に、「あすを探る」という署名入りの囲み記事がある。筆者は、映画監督・作家・明治大学特任教授の森達也氏だ。今日はこの記事に学ぶことにした。
 筆者は、「昨年夏、ベルリン自由大学の学生たちと話す機会があったとき、一人から「8月15日は日本のメモリアルデーなのですか」と質問された。
 「終戦記念日だからメモリアルデーですね。ドイツはいつですか。確かベルリン陥落は5月ですよね」
 僕のこの問いかけに学生たちは、 
 「その日はドイツにとって重要な日ではありません」と答えた。
 ならば重要な日はいつだろう。学生たちは「1月27日」と答える。でも何の日かわからない。首をかしげる僕に彼らは、「アウシュビッツが連合国によって解放された日です」と説明した。
 ドイツのメモリアルは加害。そして日本では(広島・長崎も含めて)被害。この違いは大きい。どちらを起点に考えべきなのか。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「結果としてこの国は、自らの加害を起点に考えることを選択しなかった。戦争の終わりは戦後の始まり。 新たな歴史がそれまでの歴史を上書きする。戦後復興に経済成長。
 戦争で果たせなかったアジアの盟主の座を経済で実現する。でもやがてバブルははじけ、GDPは中国に抜かれ、その翌年には原発が致命的な事故を起こす。 もはや右肩上がりの経済成長は望めない。でも諦めきれない。アジアの一つになることを認めたくない。中国や韓国の台頭も苦々しい。
 そんな思いが飽和しかけたときに領土問題が勃発し、自民党は「日本を取り戻す」とのスローガンを打ち出した。強いリーダーに国民は熱狂する。メディアには「舐めるな」と街場の喧嘩のようなフレーズが躍る。
 イラクに今の混乱状態をまねいたそもそもの責任は、武力攻撃してフセイン政権を崩壊させたアメリカにある。このとき多くの国は、大量破壊兵器の存在を理由に先制的自衛を主張するアメリカに激しく反対した。
 でも侵攻は始まった。アメリカを支持する国があったからだ。特に強く賛同したのはイギリス、オーストラリア、そして日本だ。
 アメリカを支持することが日本の国益とこのとき訴えた識者は、今の安保法制懇の主要なメンバーとなって、集団的自衛権の必要性を主張している。侵攻を支持した政府判断の検証もまったく進んでいない。
 人は進化の過程で、不安や恐怖の感情を強く保持し続けてきた。だからこそ現在の繁栄がある。でも自然界に天敵がいなくなってからは、その本能は同族に向けられるようになった。こうして自衛意識が暴走して戦争が始まる。本能は消せない。でも手段は制限することができる。」と指摘した。
 さらに筆者は、「この国はかって武力の放棄を決意した。その後に解釈変更を重ねながら再び保持したけれども、過剰な自衛への抑制だけは持ちこたえてきた。でもいまその一線が崩れようとしている。集団的自衛権の名のもとに。
 この流れに抵抗する人の一部は、現政権を「彼らは戦争ををしたいのだ」と批判する。すこし違う。彼らは彼らなりに戦争を忌避している。戦争の悲惨さはわかってる(と思いたい)。戦争のメカニズムが分かっていない。多くの戦争は自衛の暴走で始まることを理解していない。
 「私は、戦争を根絶するには、欲心を取り払わなければならぬと思う。現に世界各国はいずれも自国の存立や、自衛権の確保を説いている。これはお互いに欲心を放棄しておらぬ証拠である。国家から欲心を除くということは、不可能のことである。されば世界より戦争を除くということは不可能である」「秘録 東京裁判」(中央公論社)。 処刑直前に東条英機はこの遺書を残した。」と教えてくれる。
 最後に筆者は、「確かに自衛の意識はなくならない。でも手段を制限することはできる。この国は戦後、身をもって世界から戦争を除くための理念を掲げた。不可能に挑戦した。
 その歴史の上書きだけはしない。
 この先にこの国がどう変わろうと。」と締めくくった。
 読んで勉強になった。
 筆者の、「多くの戦争は自衛の暴走で始まる」との指摘は、成るほどと思った。それでは、戦争の終わりは、どんな条件が必要・十分なのだろうか?
 また、東条英機の処刑直前に残した遺書は、日本の最高権力者の東条英機、東条英機という人の心情を理解することができたような気がする。
 自分は、いろいろな市のいろいろな会派の議員と一緒に中国の各市を訪問したことがある。その視察で、南京市が入っていたが、庁舎で当たり障りのない話を聞いただけで、南京大虐殺の博物館訪問は初手からスケジュールに入っていなかった。為に、みんなが休憩時間の時に、同じ党派の他市の議員は誘わず(非難は一人で受けるつもりで)、南京大虐殺の跡地にある博物館を、タクシーで往復してみてきた。その時、日本では決して見れない写真を見た。
 それは、東条英機が絞首刑になった直後、首に絞首刑の綱をつけたまま横たわっている、大きな写真であった。
 その東条英機が、絞首刑の直前に残した「遺書」を、生まれて初めて、この新聞記事によって知ったことは、感動ものだ。
 東条英機の「国家の指導者に欲がある限り「戦争」はなくならない」という遺言は、当たっているかもしれないが、そうでないことを祈りたい。。
 欲と言えば、故郷の偉人「良寛」さんが、「名利心に入らば、大海もこれを潤すことあたわず」と漢詩で残されたのを見たことがある。人の欲の無限を説いて、欲を捨てよの智慧であった。
 また、中学生の頃、恐竜の滅亡の話を聞いた時、人間・人類の「滅亡の原因」は何だろう、と考えた。
 それは、進歩発展のエンジンである「欲」の暴走なのだろうか、とも考えた。
 人類は「欲」のために、戦争をやめられず、滅亡への道をひたすら突き進むのだろうか?
 地球は、宇宙は、人類を「自己増殖する欲」という、自爆装置つきで、この世に誕生させたのだろうか?
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by sasakitosio | 2014-06-28 07:57 | 朝日新聞を読んで | Trackback