憲法の良いとこ発見しませんか?


by sasakitosio

冷戦後の曲がり角

 6月1日付東京新聞朝刊4面に、「時代を読む」という署名入りの囲み記事がある。筆者は、東大名誉教授・佐々木毅氏だ。今日はこの記事に学ぶことにした。
 筆者は、「世界中が、騒々しくなった。政治的にウクライナの内戦やタイの内紛・クーデターなどはその例であるが、民主体制が機能不全に陥り、直接行動が横行した結果、体制の行き詰まりが明白になっている。アラブ世界の民主化も宗教的原理主義と暴力の陰に埋没し、楽観的な民主化論の勢いは衰えるばかりである。
 当然それは軍事力ないしそれに類する手段の復権と表裏一体であり、テロ騒ぎはやむことがない。民主化が自由化につながるという期待の剥落である。一時期、平和のためには民主化が必要だという教説が繁盛したが、そうした議論の季節も終わったようである。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「米国が世界の警察官としての役割を放棄宣言する一方で、ウクライナや南シナ海での大国が絡む紛争が目立つようになった。
 領土や領海が切り取り自由のように見える世界は騒々しいことの最たるものである。国際紛争を処理すべき常任理事国が自身が紛争に絡むようでは、国連が再び無力化する。これからの国連がどれだけの機能が期待できようか。
 旧先進国では民主政はかってと異なり、社会的・経済的格差の拡大・再生産のメカニズムになった現実は否定できない。
 こうした状況への対応として、過日の反欧州連合(EU)を掲げる極右勢力の躍進を挙げることができよう。金融主導型の市場経済とセットになった民主政において、金融危機が金融秩序維持を政府に促すとともに、政府の負担急増と歳出カットにつながることは広く知られている。
 結果として経済環境は厳しくなり、不満をナショナリズムで埋め合わせようと試みる話になりやすい。日米欧の中央銀行は金融危機の後始末と称して際限なき通貨供給政策を続けているが、最後に誰がどういう責任をとるかを棚上げにした市場原理信仰で場つなぎをしている。将来大きな変動可能性をはらむ無責任体制が実態であるという声もある。」と指摘した。
 さらに筆者は、「冷戦後の二枚看板であった民主政と市場経済という原理は、金融市場に代表される経済の膨張や軍事力の蓄積を世界規模で促進した一方、それらを管理する政治権力の基盤をむしばんできたことは否定できない。政治体制の崩壊や解体は、その極端な例ではあるが、国際紛争の処理能力にしても楽観は許されない。実際、各国政治はかって以上に厳しい内政問題を抱えている。
 米国と中国を見ればよく分かる。基盤が弱い権力がしばしば「内憂を外患に転ずる」策に訴えやすい。利益政治の基盤が市場経済に浸食され、変動にさらされている中で、代替策としてナショナリズムなどに政治体制の基盤を移すことも、よくある安易な処方箋である。その結果、ハプニングに足を取られ、紛争の深みにはまりこんでいかない保証はない。
 経済力や軍事力の過剰は安定した世界を保障するものではない。」とも指摘した。
 最後に筆者は、「それらをコントロールする政治力がなえる時、目的と手段との転倒が起こる。日本ではこれまで憲法が転倒を防止する役目の大半を果たしてきた、その分、政治の負担を軽くしてきた。目下、議論が進む集団的自衛権問題は、軍事力のより積極的な運用に道を拓くものであり、いったん拓けば「限定的」などといった限定は早晩立ち消えになることは明らかである。
 このことがわからない政治家には、この問題を論ずる資格はない。」と締めくくった。
 読んで刺激は、以下のことで強く受けた。
 ①「一時期、平和のためには民主化が必要だという教説が繁盛したが、そうした議論の季節も終わったようである」
 ②「国際紛争を処理すべき常任理事国が自身が紛争に絡むようでは、国連が無力化する。」
 ③「旧先進国では民主制はかってと異なり、社会的・経済的格差の拡大・再生産のメカニズムになった現実は否定できない」
 ④「日米欧の中央銀行は金融危機の後始末と称して際限なき通貨供給政策を続けているが、最後に誰が責任をとるか棚上げにした市場原理信仰で場つなぎをしている。」
 ⑤「米国と中国を見ればよく分かる。基盤が弱い権力がしばしば「内憂を外患に転ずる」策に訴えやすい。利益政治の基盤が市場経済に浸食され、変動にさらされている中で、代替策としてナショナリズムなどに政治体制の基盤を移すことも、よくある安易な処方箋である」
 ⑥「経済力や軍事力の過剰は安定した世界を保障するものでは無い」
 ⑦「それらをコントロールする政治力が萎えるとき、目的と手段の転倒が起こる。日本ではこれまで憲法が転倒を防止する役目の大半を果たしてきた」
 筆者の指摘は、理解でき、納得できる。
 しかし、「曲がり角」の先に、何があるのだろうか?
 また、矛盾を内包する「今を」土台に、いったい何から手をつけ、何を創造するか?
 筆者をはじめ、日本の識者に期待したい。 
[PR]
トラックバックURL : http://sasakitosi.exblog.jp/tb/20782488
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
by sasakitosio | 2014-06-06 07:14 | 東京新聞を読んで | Trackback