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by sasakitosio

起業の土壌 ノキア敗れて残るもの

 2月9日付朝日新聞朝刊10面社説下に、「ザ・コラム」という署名入りの囲み記事がある。筆者は、編集委員・有田哲文氏だ。
 今日はこの記事を勉強することにした。
 筆者は、「ときどき思うことがある。日立製作所の研究所でもソニーでもどこでもいい、優秀な研究者や技術者をたくさん抱える組織の一つが突然この世から消え、そこにいた人たちが新興企業を次々と起こす。競い合って新製品、新サービスが出てくる。日本経済にとってすごくいいことではないか。 荒唐無稽だろうか。」と切り出した。
 つづけて筆者は、「でも、フィンランドにある携帯電話メーカー、ノキアではそれに近いことが起きた。長く世界首位を誇ってきたが、スマートフォンで米アップルのiphoneに押されて業績が悪化した。会社は2009年から大規模なリストラを進め、フィンランドだけで5000人を上回る従業員が仕事を失った。
 その一人、マーク・ディロンさん(41)は、次世代基本ソフト作りに取り組んでいた。携帯電話の心臓に当たる新ソフトには社運がかかっているといわれたが、11年に会社は独自開発を断念。ディロンさんたちのチームは用無しになった。
 「僕らのつくるソフトがノキアの未来なんだ。そう信じていたのに、会社は方針を変えてしまった。でも、同時にこうも考えたんだ。「ここにいる僕らだけでも、スマートフォンがつくれるんじゃないか」って」
 ディロンさんたちは新会社ヨーラをつくった。約100人の従業員の9割はノキアやその関連会社の出身だ。ゲームや検索など一度にいろんなことをしやすい新しいスマートフォンで、米アップル社や韓国サムソンに挑む。
 そんなノキア出身者による新興企業がフィンランドに少なくとも400社はできた。その多くは従業員数の小さな会社である。」と教えてくれる
 さらに筆者は、「ノキアの敗北はこの国の人たちを大いに落胆させた。でも今は。振興企業から成功者が相次ぎ、穴埋めをしてくれるのではないかと期待する声がある。第2のノキアではなく、10社、20社の小さなノキアたちが、企業の成長のエンジンは、新たな工夫や技術革新である。しかし、ときとして大企業、とくに硬直化した大企業には難しい。ノキアもそうだったと、元従業員たちは言う。
 「2000年代半ばから、とにかく会議ばかりになった。組織が複雑になり、一つの提案をするのに社内のいくつものグループと交渉しなければいけなくなった。意思決定が遅くなった。」
 「iphoneより前にタッチ式の携帯電話をつくっていたが、そんなに売れないだろうと前に進めようとしなかった。確実に売れる商品があれば、新しい試みはリスクになる。経営陣は嫌がるんだ。」
 かってのノキアこそ新興企業のようなものだった。ゴムや電信ケーブルのメーカーから電気通信に進出し、90年代に携帯電話へと大きく舵を切った。スピード感のある経営で、米モトローラを抜き去った。
 「どうすれば最先端を走れるか、どうすればグローバルに仕事ができるのか。ノキアで学んだことだ。」。元ノキアの技術者で電子機器の設計の会社を起こしたパシー・レイパラさん(40)はいう。「そして同時に、どうすれば失敗するかも学んだ。」」とも教えてくれる。
 さらに続けて筆者は、「彼らと話していて、一つ疑問に思ったことがある。大企業に居場所がなくなったとしても、会社を起こすという冒険を簡単にできるものだろうか。子供がいればその教育費など、心配のタネはないのか。
 子どもが10人というのはフィンランドでも相当多い方だが、その父親であるアンティ・アウニオさん(43)はこう言った。「日本の人からよく、金持ちじゃないと教育費が大変だろうと言われる。でも、ここは全部タダだから」。学費は大学まで無料。しかも、その教育内容は国際学習到達度調査(PISA)で上位を占める水準だ。
 もちろんこれは消費税率24%など重い国民負担があるからできることだ。医療費の自己負担も低めに抑えられている。
 そして税金は企業への支援にも向かっている。技術庁が新興企業に補助金や融資を出しており、その額は過去10年で3倍に増えた。そのおかげもあって、ゲーム会社がいくつもいくつも育っている。世界各国で大当たりし、ソフトバンクに株式を買ってもらったスーパーセルもその一つだ。見込みが外れて税金を無駄にしたらどうするのかと思うが、「きちんと評価している。小さい国だから目配りもききやすい。」(技術庁幹部)のだという。
 ノキアも、事業を起こす元従業員に退職金とは別にお金を渡している。一人2万ユーロ(280万円)程度で、3~4人集まれば、それなりの事業開始資金になる。」と教えてくれる。
 最後に筆者は、「「フィンランドは、欧州のシリコンバレーになるかも」との声もある。でも、ひたすら自由競争を重んじる米国流とはちょっと違う。北欧流は成功するだろうか。
 いずれにせよ、これだけは言える。フィンランドに企業をもたらす土壌は、ある日突然生まれたものではない。」と締めくくった。
 他国でできることは、日本でできないことはない、といつも思っている。圧倒的多数の被支配層の国民を説得する「力量不足」、自分の思想に対する「自信不足・信念不足」、を克服さえすれば。
 何流であれ人の作った組織も物も思想も、歴史の流れ、社会の進歩に、いつかは適合しなくなり、衰退するものだ。衰退・解体を余儀なきされた、そのときに、組織の内外の人びとが、変化に対応できるまでの「期間」、社会全体が国家全体がサポートできる、いわば社会の安全弁を用意しておきたいものだ。
 とくに、教育や福祉には、たとえ貧しくとも等しい「安心」を、ストックしておきたい。
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by sasakitosio | 2014-02-11 19:25 | 朝日新聞を読んで | Trackback